カテゴリー別アーカイブ: 種について

百姓料理・今年の種が届く

一昨日夜に家族でカニを食べましたが、我家ではすぐには殻を捨てません。

カニ1匹分の殻に丼2杯のお湯を入れて沸騰させます。

中身を食べた後のカニ殻にお湯を注いで残った身や旨い成分を煮出して、ラーメンスープにしたり、白菜やネギを入れて味噌味にして番屋汁にしてとことん楽しむのです。家族だから食べることができる出汁スープです。他人は確実に嫌がります。

鮭よりも鱒が好きなので1匹物の塩鱒を買っておろしました。

鮭や鱒をさばいた後の頭や骨の部分は、水に浸けて塩抜き後に圧力鍋で軟らかくしてから野菜と一緒に鍋の具にします。川釣師である俺にはヤマメのような鱒の繊細な肉質が好きです。

春播き野菜の種が届きました。とりあえずの種なので必要に応じて品目と量を追加します。

昨年の天候と野菜の値段を参考にして今年の播種品目と量を地元の種屋さんとジックリ相談して決めました。大正7年発行の全国優良種苗店目録に名前が載っている藤田種苗店に頼みました。長岡市の種屋で播種品目を相談しながら注文できる唯一の種屋になってしまいました。歴史と経験があり良し悪しをハッキリ言ってくれる種屋が身近にあることは百姓にとって有難いことです。

さつま芋の出荷

サツマイモの出荷が続いてます。我家の子供が幼い頃、サツマイモが大好きなので6代目が孫のために地元の藤田種苗店に大量に苗を注文した年がありました。ベニアズマ・金時の2種類でした。作業が混んでいたために例年より遅い定植期の5月末に定植してその年は降水量が少なかったので芋は大きくなりませんでしたが、それまでにない糖度になりました。

寒冷地である新潟県で熱帯植物である大量のサツマイモを冬季まで保存販売することは不可能とされていた頃です。もちろん専用施設があれば話は別ですが、その時代に個人農家が専用施設を保有していることはありません。

 

誰もやらないことをしなければ野菜専業の百姓は生業として残れない…と考えて4年間試行錯誤して安い保存方法を考えました。毎日夜中2時と朝7時に起きて薪ストーブに薪をくべた年もありました。そんなことを繰り返しているうちに、スーパーに出荷している知人の農家に「どんな方法でサツマイモを保存しているのか教えて欲しい」と何回も質問されるようになりましたが「自分で何年も苦労して考えたことなので勘弁してください」と教えることは断り続けています。

皆さん農家であっても専門は稲作なので、野菜の性質と保存について自身で考えることは無いようでした。今では一般的に流通している安納芋ですが10年くらい前は、苗はおろか生芋や種芋すら入手できませんでしたので、種子島から生芋を仕入れて苗を育て栽培しましたが「安納芋」の認知度が無く、皮色が薄いので見た目が劣り販売に苦労しました。

べにはるか・べにまさり、などが認知されなかった頃、新品種として試験栽培され、一部農家が販売していた生芋を県外でなんとか入手して栽培して農協主催の農業祭りでポップを立てて安く並べましたが、ベニアズマ・金時に比べて半分にも満たない販売量でした。農協職員に「これからは、安納芋とベニハルカが主軸になるよ」と説明して売れ残りのサツマイモを渡してから10年近く経ちました。現在では、べにはるか・安納芋は一番売れるようになりました。

サツマイモの自家苗を売ってほしいと、種屋に苗を売ったこともありましたが1本15円~20円の売値では苦労して種芋を探し出した当時を思い出すと納得できず、翌年からは苗販売はやめました。

本当に良い野菜の種や苗を手に入れるには、自分の足で稼ぐことです。我家のサツマイモはすべて自家採種自家育苗で10年が経過しています。毎年の選抜は経験が必要です。種も苗も仕入れて育てるのは単なる農家でしかありません。我家は江戸時代から続く嘘偽りの無い歴史を持つ野菜専門の百姓なのです。農家と違って、百姓とは種を採り育て野菜を売り、それを代々繰り返して受け継ぎ確たる伝統をつくり守っている者をいうと思うのです。

長岡市の種屋さんの展示会

長岡市の地元種屋さんの展示会が毎年2月にあります。今年は本日でした。ハイブ長岡という大きな会場に日本全国の有名種苗会社・農業関連会社が来て展示販売をします。

数年前までは午前中に行っても駐車場は空いていたのですが、近年は家庭菜園ブームで午前中に行くと駐車場が満杯なので今年から午後から行くようにしました。それでも空きスペースを確保するのが大変でした。

目当ては、ペーパーポット用のネギの播種機。サイズと板構成を見るためです。出展会社の担当者と話していると高齢の爺さんが強引に話しに割り込んできて「これ、売ってくれや」と始まってしまったので、仕方なく撤退しました。

この展示会は毎年、目玉商品が多数で種なども特別価格なので、多少の出費でも得をした買い物ができます。今年は、製造中止になった「農業用地下足袋」を半額以下・日本製ポリバケツ・ナメコ菌を買いました。 最近の地下足袋は高価であってもすぐ穴が開いてしまい2ヶ月もたないものもザラなのですが、毎年この展示会で販売されている地下足袋は今まで使ってきた中で一番丈夫で履き心地が良いのです。しかし、残念なことに製造中止になったので在庫限りとのこと。最後の2足を格安で入手できました。

昔、「戦後強くなったのは靴下と女」という言葉を聞きましたが、「農業ブームになってから安作りになったのは農業機械と地下足袋」と言っていい時代になりました。

百姓仕事は嫌だ…と愚痴が出る一年間ですが、この時期の展示会へ行った時は「楽しい」と希望を感じます。

地域の種屋さんの話・本物の種屋の重要性

種を買う時、昔からある歴史のある種屋さんで買うでしょうか。ホームセンターや日用雑貨店やスーパーなどで買うでしょうか。農協の直営店で買う(注文でない)でしょうか。

種や球根などは、是非、地元の種屋で話を聞きながら買ってほしいです。地域農業を守るということでは地域の種屋を永く存続させることも重要なことなのです。

野菜に多少の知識ある人がスーパーなどで種を買う場合は、種の品質に拘ることはないと思います。俺はそうです。 しかし、種にシッカリとした品質を求める場合や新発売の品種を求める場合は、歴史ある種屋で種を買っています。

本日夕方、地元長岡で大正時代以前から続いている種屋に、種の注文に行ってきました。店頭で店主と向かい合って、新発売から数年経過した野菜の品質や栽培要点、耐病性などを聞きながら今年の栽培品目を相談してきました。 国内に数多くあるサカタ・タキイなどの大手種苗各社の製品情報を知る種屋の存在は、とても重要です。

昔の品種との違い、栽培要点、交配原種は何だろうか、実際に栽培した人からの評価などなど知り得ない情報が得られるのは歴史ある種屋だからこそ。 ホームセンターや農協売店では教えてもらえないことが聞けるのです。 開発メーカーの話・多数の栽培農家の話、双方の情報を一番知っているのは昔からある種屋でしょう。その双方の話を種屋の経験を通して良い面も悪い面も、俺のような客にフィードバックしてくれるのです。このようなことは種屋にしかできないことなのです。

ホームセンターやスーパーで野菜種や花種などが売られるようになり、新潟県内の種屋も相当減ってきているそうです。種屋とは種を売るだけでなく、栽培情報も一緒にオマケしてくれていることを知らない消費者が多いのです。 ネットで調べても地域差で温湿度や土質などの違いまで教えてくれませんし、種袋の裏面にある「冷涼地・暖地・関東・東北・関西」など曖昧な線引きでの説明や、毎年同じでない気温変化と気候に困ることもよくあります。 このようなことは、歴史のある種屋なら多くのお客からの情報と経験で、一番良い播種時期や管理方法などを教えてくれます。 質問に答えられる本物の種屋が永く営業できる時代に戻ってほしいです。