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自作ネギ移植機「ひっぱりちゃん」完成!

ブログ最下段に木製の手作りペーパーポット移植機の画像と記事があります。

チェーンポットを移植する「ひっぱりくん」は買うと高い。10万円前後の出費は、貧しい土田家にはケツの穴に内視鏡を突っ込まれるほどに痛い。 そこで昔、某○○精機・家電大手○芝・ドイツに本社がある大手某医療機器メーカー・など100分の1ミリ単位誤差で多数の試作の下請けをしていた技術があるので「ひっぱりくん」のようなものを自作することにした。

俺が兼業の頃の専門はアクリルや樹脂・ベーク・金型加工など。勿論その頃、6代目は野菜専業百姓でした。 今回使う機械は、ボール盤・グラインダー・平面彫刻機で対応。ガス溶接機と電気溶接機はあるが鉄板は切断が厄介なのと重いし錆びるのでパスした。 錆びずに軽いアルミで製作することにした。基本は「なるべく廃材を利用する」貧乏百姓の基本。百姓とは「百の仕事をやらねばならない。そして地域の百の姓の食を守る。」

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解体現場からもらって来たアルミ扉を材料にする。 画像は加工後のアルミ板で厚みは1.5ミリ近く…ノギスで板厚を計るのを忘れた。時間に追われて画像も少ない。油汚れとアルミ加工粉でカメラの操作も躊躇われた。

平面彫刻機(フライス)でカット。油を注しながらカットする。

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折り曲げたいところに彫刻機でV溝の切込みを入れて、万力でくわえてプライヤーや金槌で、任意の角度に折り曲げる。専用分度器を使用しているので程々に良い出来。

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こんな形にもできる。手前は90度で幅広いほうは120度ほどの角度。ペーパーポットは右から左へ流れることになる。

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育苗箱が載る板。緑の取り付け金具は子供が乗らなくなったキックボードのハンドル取り付け部分。ここにはキックボードのハンドルがそのまま取り付けられる。

 

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いきなり完成の写真。苗が送り出される部分を裏返したところ。底部になる。真ん中に3ミリ板を16度に折ってある。 苗が流れる上板1.5mm・中板3mm・送り出し部品2mmの合計3枚をステンレスボルトで止めてある。したがって16度に折り曲げた中板によって角度のついた連結板として一体になっている。

 

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上部画像部を分解するとこんな感じ。16度の折曲げ部。直角に折ってあるこの部品は壊れたキャンプテーブルの部品を利用

コの字に切込んである部分で16度。

 

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前輪の鎮圧車輪は子供の使っていた自転車の補助輪。他の補助車より太かったので鎮圧用にした。本当はもっと太くてシッカリしたものが良かったのだが仕方ない。 完成画像、前上から。黒い苗箱を装着してみた。三角部分には不要の透明ポリカーボネート3ミリ板をネジ止めしてある(透明なので見えない)…これはアルミ三角部品をビス固定したためビスの凸部ができたので平面にするためポリカーボをつけた。 試作の仕事はやめたのでポリカは不要だが、ポリカの金額は高価である。 片手で持てる軽さ。5キロあるかないか。

底面真ん中には1メートルのアルミ角材が1本通してあるので、しなることはない。持ち手のハンドルは上から下までキックボードの廃品。昔、子供用に700円で買った安物なので耐久性に難がある。ハンドルは鉄製なので錆びで真っ赤だったので塗装した。赤い車輪も子供が乗ってた自転車の補助輪で加工して2輪にしてある。これは「ひっぱりくん」と同じで2輪にしないと安定しない。 下写真、底面左下の白い三角形の部分は試作用の材質でジュラコンを加工。 土に溝を切るためにつけてあり位置を変えることで溝の深さを調節できる。右にスライドさせるほど深い溝が切れる。 進行方向は左。

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製作費はポリカ板とジュラコンをのぞけば、アルミ角パイプと車輪固定アルミ板・ネジ類で2000円以下。製作時間は5日程なので我家の百姓としての日当以上の物ができた。

展示会で一度本物の「ひっぱりくん」を見たことがあるだけで、カタログとネット画像を参考にして試行錯誤、分解、加工、組み立ての繰り返しでした。そのため鉄に比べて軟らかいアルミにタップを立てて(ネジ穴)たのがバカになってしまったりと苦労しましたが工作は面白いし楽しめた。

チェーンポット用に展開板も自作するつもりでいたが材料費や手間を考えて途中挫折。その画像が下。

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フライス、平面彫刻機で8mmのABS樹脂を加工したが…あまりの数と労力に諦めた。

材料費と手間を考えるべきでした。

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予定ではこんな感じだったが、根気と時間の都合で挫けてしまったので、あっさり13000円で購入した。
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購入した展開板を観察。裏面の格子補強とアルミ枠があるのでよれない。買ったほうが絶対安いです…成型品は安い。
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表面。購入品はサイドの金属串もついてる。260個以上の丸突起を作らなくて済んだ。

下は自作の播種機。販売されている播種機は手作業で業者が製作しているのが、アクリルのカット面と接着面を見ると判ります。時間があれば全く同じ物を製作することが可能ですが、半日で仕上げるために簡素な播種機にすることに決定。

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手前は2ミリのアクリルキャスト板。加工性は抜群だが割れ易いことと、厚みが均等でない。アクリル押出し板は厚さが均一。穴は4ミリなので、ネギ種は裸種「元蔵」で2~3粒。「東京冬黒」では4~6粒入ってしまう。

軽量化のために、アクリル3mm板を下板にし、撚れ防止に1mm厚のアルミアングルで周囲を補強。種が落ちる穴径は7mm。

裸種子を入れる上板は2mm圧、4mm穴

※アクリルは割れやすいため、塩ビ板・ポリカーボネート板が耐久性と、ドリルの作業性が良いので、地域の樹脂販売卸店か看板屋に問い合わせすると良いです。

 

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下基板は3ミリの塩ビ板。穴径6.5ミリ。帯電防止ではないので静電気で種が張付くので、板全体が汚れている程度が使いやすい。右下日付の上、ベージュ色の四角いポッチで上板をスライドさせる。

コート種子は価格が高いので、裸種子を播くために2ミリ板にしました。アクリル板や塩ビ板などは定尺サイズの販売になるので高価になります。またカット代を考えると、一般の人は材料代で悩むことになると思います。

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2回に分けて播種する。とても簡素な播種板だが手播きするより能率がよい。高温となる場所に放置すると板が曲がったり反ったりするので注意が必要。いずれコート種子を簡単に作れる機械を自作しようと模索している。
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これでチャレンジしたが、ペーパーポットやチェーンポットには対応しない。セルポットにはとても重宝する道具だ。以前はセルトレーとセット販売しかしてなく、これだけのために13000円前後していたのを買ったが、現在は単品売りしている。オレがメーカーに単品売りを勧めたのだ。

高校時代の友人である金垣くんは今年、チェーンポットを手のみで展開し、指先ひとつで合計45枚の播種をしたと豪快に笑っていた。 オレにはそんな根性も、時間のゆとりもない。

2016.12.10追記 この頁の閲覧者が意外なほど多いので追加記入します。

このアルミ製の「ひっぱりくん」もどきの移植機ひっぱりちゃんを作るキッカケは、木材を使って移植機を作った Tさんの話を聞いたからでした。Tさんの奥さんが、俺の妻に「うちのお父さんは、あんな高いモノ、自分で作る。と言って、木で作って何年も使っている」と話してくれました。Tさんは知り合いから「ひっぱりくん」を借りて、サイズ取りして材木をカット、接着ネジ止め塗装したらしいです。タイヤや土寄せなどの部品や処理をどのようにしたかは不明です。実はTさん他界されたので製作の詳細を聞けずじまいでした。Tさん存命中のときは毎日ネギを大量に出荷されていたので、木製のものでも大量に移植できて耐久性もほどほどあるのではないかと思われます。現在も息子さんが使用しているみたいです。

高校の同級生、金垣くんはチェーンポットを手で引っ張って移植しているほどですから(54歳なのによく頑張りますが…)、「ひっぱりくん」のようなものがあれば、まったく同じに作らなくても作業できるということではないでしょうか。腰を曲げて手でチェーンポットを数百メートル引っ張るより、はるかにマシです。H28年は180枚のペーパーポットを手で広げて土入れ・手で播種・手で180枚を引っ張るそうです。

製作作業についてですが、何かしらの部材にアクリル板を使用し穴を開ける場合について。 ボール盤のドリル刃は通常「鉄鋼用」の刃先形状で販売されています。この形状ではアクリル板や木の穴あけ作業は、板を割ったりダメにしてしまうばかりか怪我をする可能性が高いです。塩ビも同様です。 貫通時に板がドリルと一緒に回転しながら持ち上がったり、貫通時に板を割ることになります。とくにアクリル板は、ほぼ割れます。アクリルの穴あけ作業は下に板を敷くことでドリルの抜け割れをある程度防ぐこともできます。俺はアクリル加工の専門業者でしたので、経験内でのアクリル用ドリル加工を教えます。

専門鉄鋼用ドリルの刃先をグラインダーで削り加工することで作業性の向上と仕上がりが良くなります。刃先の形状は文字では説明できないので画像で判断してください。

販売している鉄鋼用そのまま。
アクリル用にグラインダーで加工したもの。
鉄鋼用
アクリル用に加工。形状を参考にどうぞ。中心を出すことと、対称に削るのは難しいですが、材料の端材に穴あけして確認しながら加工することをおすすめします。

2017.1.20追記

本日、チェーンポットネギ移植機を、木・トタン板・アルミ板(鉄板)で自作した農家のTさん宅へに行って撮影させてもらったので、参考にしてください。

Tさんは、ひっぱりくん所有者から現物を借りて採寸しながら作ったそうです。昨年他界されたので製作についてや使用の注意点などの詳細はわかりません。

土寄せ部分です。1.5寸材。角材の巾が4.5センチとして大きさも判断してくだい。
蝶ネジで固定してあるので、土寄せ調整可能です。

誘導部はトタン板を折って釘打ち・ネジ止めしてあります。

苗の誘導通路の幅は4センチ程度。土寄せ部はドブメッキの鉄製を折り曲げ。

苗箱がピッタリ納まるようにしてあるのでズレません。茶色の板の三角部分から上はトタン板です。
2本の足は、根元(画像手のところ)は本体とネジで連結してありますが、フリー状態です。
「ひっぱりくん」を借りてサイズ取りして作ったそうなので手元の高さ調整のために2本足はフリー状態なのだと思われます。
重さは2~3キロ程度でしょうか。どうやって引っ張るのか肝心なことを聞き忘れました。
重要な箇所。判り難いですが溝を掘るための三角形の爪が飛び出ています。

この部分は難しいので、厚紙で型を作ってから、本製作に入ったほうが良いと思います。材質はたぶんアルミです。

時々、苗が倒れてしまうので、奥さんが付いて修正しながら土を掛けていたそうです。
簡素化された作りですが、要所を捉えて製作されています。三角部トレーの立ち上がりは上から次第に角度が変わっています。

簡素化されているので軽くてもシッカリとしていました。これで何年もネギを生産していたのです。まだまだ使える手作り道具の見本と言えます。チェーンポットへの播種は手播きだったそうです。

基本的な構造さえ理解できれば高価なモノを買わなくても代用品が自作できるという見本だと思います。いきなり全ての道具を購入するというのはキツイものです。最初は自作の移植機で生産性を少し上げて収入を増やし、徐々に収入に見合った製品を買い増していくのも、一つの選択肢だと考えます。