里芋専用包丁


新潟県の与板鍛冶に手伝ってもらい俺が打った里芋専用の包丁です。20年ほど前になりますが、与板鍛冶に手打ち刃物を教えてもらえるイベントで作りました。

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ケースは「カイダック」というもので熱で変形させるのが簡単な材質です。普通の電気オーブンで加熱してタオルで包んで包丁に被せて成型。刃の全長は長いように見えますが、実際の鋼部分は10cm・鋼刃部分は約7cmです。柄には土汚れでも発見しやすいようにアルミをビス止めしてあります。

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スプーンで土をすくい取るような感じで使いたいので湾曲させてあります。刃面と背面の両方を使うので芋を傷つけないように背面は丸くして、ヨレや曲がりに強くするために厚み3mm程度にしてあります。鍛冶屋さんが2人掛かりで相槌で粗型を作ってもらい、その後に俺が重たい片手槌で何度も火入れして成型しました。

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指先部分に曲がり線がうっすら見えますが、線から右が刃金。鍛冶屋さんに指導してもらってホウ酸接合した部分です。指先の線から左は握り部分と同じ軟鉄ですので、刃付けしてもすぐに切れなくなります。「裏すき」という工程もしてもらいました。焼き入れは色変化を見ながらタイミングを教えてもらい、焼き戻しは180℃という目安で水が玉になってはじくのを確認して自分で行いました。

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先端部は丸型にしてスプーンのように。刃付けは帰宅後に自宅にあるベルトグラインダー(バーキング)で焼き戻りしないように巾2cm長さ7cm削厚2mmで刃付けしました。刃金は青紙か白紙か忘れてしまいました。刃の硬度はもう少し低くいほうがよかった感じです。

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使い方。手の力だけでは崩せない時が出番です。土で埋まっている芋の隙間に包丁の先端を差込んで、こじるだけ。刃と背の向きを使い分けます。

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こじっても芋が取れない時は刃部で切ります。湾曲していない普通の薄い包丁ではこんな作業はできません。作業内容や自分の癖を知っているから「こんな道具が必要・あれば便利」を形にできます。良い道具・便利な道具は仕事を綺麗に楽しく変えてくれます。自分で考え作った道具は愛着も違います。伝統の農具は形も使い方も地域性があり必要性から生まれ受け継がれてきた歴史の裏打ちがあります。たった一人の農民の思いつきが、鍛冶職人の技術と融合して地域伝統・あるいはその百姓家だけの特別な農具になってきました。与板鍛冶がいるかぎり我家の伝統農具の修理や創造は続きます。

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